農家同士の連携と
日々の研鑽が支える品質
芳醇な香りとコクのある甘さ
水上村のアンデスメロン
水上村では水はけのいい土地と昼夜の寒暖差を利用し、30年ほど前から米の裏作としてメロン栽培が行われるようになりました。当時はプリンスメロンが主流でしたが、消費者ニーズの変化に合わせ、近年はアンデスメロンの栽培が盛んです。繊細な網目模様のアンデスメロンは、贈答用や自宅用としても人気。厚い果肉と豊かな香り、コクのある甘さが際立つ水上村のアンデスメロンは例年、ゴールデンウィークを中心に出荷が行われます。
美しい里山風景が広がる
岩野地区のメロンハウス
村内にある8軒のメロン栽培農家のなかでも期待の若手、内田栄二さんの圃場を訪ねました。米の裏作として、メロン栽培に取り組む内田さんのハウスがある岩野地区は水上村の中でも比較的標高が低く、いち早く桜前線が訪れる地域。整然と積み上げられた石積みの周りを菜の花や山の桜が彩る様は、まるで絵画の世界です。太陽光で満たされた6棟のハウスでは青々とした葉の間から、小さなメロンの実が顔をのぞかせ始めていました。
Uターン後、メロン農家に。
家族と村人の愛情たっぷり
花芽や実がつき始める3月は、葉の育ち具合や、余分な花芽やツルを摘み取りながら大きさや糖度を整える作業が続くため、外出もままならないほどです。「岩野の水田は水はけもよく、メロン栽培にも向いています。まだまだ試行錯誤の連続ですが、村にはメロン栽培のキャリアが長い先輩農家も多く、ことあるごとにアドバイスをいただいているんです」。こうした日々の連携こそが、水上村のメロンのおいしさの理由のひとつです。
天候と向き合いながら
日々の品質管理
「メロン栽培を続ける上で、一番影響を感じるのは天気です。成長に光合成が欠かせないだけでなく、湿度は病気の引き金にもなるため、雨の翌日はハウスからできるだけ早く湿気を抜く作業が必要です。大雪や雨が続くと大変。また、糖度と実の大きさがメロンのクオリティに直結しますが、一気に大きくなりすぎると実が割れてしまうことも。だからこそ、出荷前のコントロールには特に気を遣います」。
書き切れないメモがいっぱい
5年日誌が支えるおいしさ
日々、メロンの品質向上に努める内田さんを支えているのが、5年日誌の存在です。「例年の同時期との比較がしやすく、品質の背景にどんな気象条件や栽培手順の違いがあったかが一目瞭然なんです」。2冊目に突入した5年日誌は、日誌に入りきらない気づきをしたためた付箋やメモ紙でずっしりと厚みを増していました。「去年よりもさらにおいしいメロンをお届けしたい」。内田さんが手にする日誌には、そんな思いがにじんでいました。